2. 年越しSFマラソン1冊目。『スキャナーに生きがいはない』
SFが好きだ。
SFとの最初の出会いは新三部作進行中で話題のスター・ウォーズシリーズだが、その後文字を読めるようになってからは小説も好んで読む。
小学校時代から高校生までファンタジーばかり読んでいたものの、ここ数年はハードSFを含むSFの方に興味が移ってきている。私をハードSF好きにしたのはグレッグ・イーガンの『万物理論』だが、邦訳されたイーガン作品はあらかた読んでしまった。英語にも手を出したいがイーガンを英語で読むのはまだ私にはハードルが高そうだ(『クロックワーク・ロケット』を英語で読もうと思って挫折した)。
なにか新しいシリーズを開拓したいな、と思っていたところで出会ったのがコードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズだ。
いまは『人類補完機構全短編』3巻のうち第1作を読み終えたところ。すでにこの世界の織りなす広がりの先へ足を踏み入れたくて仕方がない。
この『全短編』3冊は2016年に1〜3巻が同時刊行。初出1950年というこの作品群の短編集刊行に湧いたファンがいたことは想像に難くない。
第1巻には以下15編が収録されている。1-5「スキャナーに生きがいはない」が同シリーズで一番最初に発表されたものであることを読了後に知った。1-7「人びとが降った日」よりは(初見での意味不明さ)がマシか?いやでも...という中編である。いったい、この広い広い世界の一体どこから語りだしたらいいものか、作者も迷ったのだろうか?
- 夢幻世界へ
- 第81Q戦争(改稿版)
- マーク・エルフ
- 昼下がりの女王
- スキャナーに生きがいはない
- 星の海に魂の帆をかけた女
- 人びとが降った日
- 青をこころに、一、二と数えよ
- 大佐は無の極から帰った
- 鼠と竜のゲーム
- 燃える脳
- ガスタブルの惑星より
- アナクロンに独り
- スズダル中佐の犯罪と栄光
- 黄金の船が──おお! おお! おお!
おそらく、わかりやすさで言えば、作品世界の年表でもやや早い時期の長編『ノーストリリア』を先に読むのがいいのだろう。しかし、ハードSFに「殴られたい」ひとはまずこの短編集を手に取り、その後、おもむろにこの広大なコードウェイナー・スミスの宇宙に漕ぎ出すことをおすすめする。