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書評・映画評Blogにしようと目論んでいましたが、うっかり『バーフバリ』からインド映画にハマリ、その後NetflixとAmazon Prime含め映画をたくさん見るようになりました。ありがとうバーフバリ。

[翻訳]We're quite enjoying all that stuffs. ― 2017/3/22 SSラージャマウリ監督インタビュー

インド時間ではまだ2018年10月10日!

ということでラージャマウリ監督のインタビューをざっくり日本語訳したものを公開します。なんとか間に合った...!!!

が、誤訳上等の突貫工事なので後日ちょこちょこ直していく予定です...。

 

ともかく、

Happy Birthday SS Rajamaouli garu!!

お誕生日おめでとうございます、ラージャマウリ監督!

 

youtu.be元の動画は2017年3月22日公開。

3月7日公開のインタビュー動画と同日に撮影されたものだと思われます。いずれにせよ、インドでの『バーフバリ:王の凱旋』の公開直前です。

 

動画については一部、以前翻訳を公開したものと重複しています。

また、プラバースさんのインタビュー部分は記事の最後にリンクがあります。

 

2017年3月6日 『バーフバリ 王の凱旋』:On the Sets 
SS ラージャマウリ監督インタビュー

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――1年以上にわたって追いかけていたラージャマウリ監督と『バーフバリ』のセットに立っていることにとても興奮しています!
ラージャマウリ:そうだね、1年以上になるかな。
――ここでいったい何が起こっているのでしょうか?これはなんですか?ここで何を撮影しているのでしょうか?
ラージャマウリ:ここはあのカッタッパがバーフバリを殺す場所です。
――ここがあのシーンの!!!オーマイガー!!
 

ラージャマウリ:そうです。本当にここで起こりました。それについての質問は終わりにしてね。他のことについて聞いてもらえますか?
――この話題について他に沢山質問があります!
ラージャマウリ:他の話題でね。
――分かりました。

 

――OK, では他の質問にうつりましょう。製作クルーは肉体的精神的に非常に疲れていたと思います。というのも1作目は、あなたが言ったようにアイコニックなヒットとなって、いまや2作目の公開をみんな固唾をのんで待っているということですから。
 監督がどうみていらっしゃるかはわかりませんが、『バーフバリ 王の凱旋』は2017年公開のものの中で最も待ち望まれている映画です。
ラージャマウリ:そうですね。
――バーフバリの世界の創造者として、また映画のキャプテンとして、どのように仕事をしてきたのでしょうか。自分の信念を信じて集中する?周りで渦巻くうるさい、余計な声は聞かないということでしょうか?

ラージャマウリ:私たちのプロダクションの中がうるさいですからね。中がとてもうるさいので、とても...
――とても外の声は聞けないと。
ラージャマウリ:外からの声は聞こえません。それにあらゆるところで本当にやることがたくさんあります。SFXや、俳優への説明やなど、全員が毎日仕事に追われています。全く時間がなくて、善きにつけ悪しきにつけ、他の人が私の作品について良いとか悪いとかいうのを考える暇がありません。なので、何にせよ外からの期待やノイズの影響はそんなにありません。

――これだけ期待が高まる中で、(映画の)設計者として、何かを考え直したり、作り変えたりしたことはありますか?
ラージャマウリ:実際には、本質的なところは同じです。元の脚本が切り取っているものは同じです。1作目がこうしてヒットしたので、私たちは脚本をチェックしていくつかのシーンを引き締めたり、アクションを少し綿密なものにしました。こうしたことは全て外身のことですが、脚本やそれぞれのシーンや内容はもとのものと同じです。

――2作目は1作目よりも大作になるとおっしゃっていましたが、それはキャラクターの感情により焦点を当てたものになるのでしょうか?

ラージャマウリ:ええ。

--そのことについてもう少し伺っても?

ラージャマウリ:シンプルなことです。1作目のストーリーは、キャラクターを紹介するもので、まだそんなにプロットの奥へは進んでいません。ほら、シヴァガミは力のある国母で、バーフバリが〓*1であり、バラーラデーヴァは強いということは(1作目で)示されています。キャラクターはみんな出来上がっていて、語られるべきことがそれぞれにあるのです。(1作目と2作目の)違いは、始まりと途中*2の違いのようなものです。

--なるほど。それで、監督はいつも自分のことを、「素晴らしいストーリーテラーだが、映画製作者としては素晴らしいわけではない」とおっしゃっていますね。どうしてそう思うのですか?

ラージャマウリ:シンプルに答えるなら、私は物語を作り、語るときには自信をもっていられるのですが、映画を撮影し始めると途端にそんなに自信を持てなくなるからです。撮影しているときは、いつもこれでいいのだろうかという思いが頭をよぎります。

--どのようなことについてでしょうか。例えば、あなたはここで撮影をします。カッタッパがバーフバリを殺すシーンを。そのときに何を疑うのですか?

ラージャマウリ:すべての、それぞれのシーンで、撮りながら「もっと短くすべきだろうか?それとも長く?」「俳優の演技をもっと強くしてもらうべきか?もっと悲しげに?」と考えたり、編集の段になっても自分のしていることに自信が持てないのです。行きつ戻りつして考えます。編集しているときに確信をもてることはありません。

 しかし、物語っているときは、これが正しいやり方だと確信を持って言えます。聞いている人の心を掴むかどうかはっきりわかります。

--ショーブプロデューサーが言っていましたが、撮影開始からではなく、この映画が形をとり動き始めたときから、5年が経っています。今、振り返ってこの5年間の旅は、いかがでしたか。

ラージャマウリ:そうですね...5年間というのはとても長い期間です。

--5年間、あなたは1つのことに取り組んできました。

ラージャマウリ:ええ。

--情熱を持ち続けた。

ラージャマウリ:ええ、しかし実際、これは1つの仕事に見えますが、たくさんの細かなことがあったのです。そして我々はそのすべてを本当に楽しみました。1つのことに縛り付けられていたという感じはまったくありませんでした。

ーータイアップなどもありますね。

ラージャマウリ:ええ、小説(やアニメ)*3なども手掛けようとしています。しかし、視点を変えてみると、5年間を捧げたことについて、もちろんネガティブな気持ちになり得るでしょうが...わかりません、実際、この気持をどのように説明していいのかがわからないのです。言葉が見つかりません。とても尋常じゃないことでした。

--良い意味で普通じゃなかったですか?それとも悪い意味で?

ラージャマウリ:どちらでもないです。

--ただ、違っていたと。

ラージャマウリ:そう。ただ、普通じゃなかったとしか言えません。

--(撮影中)セットの中ではどうでしたか?叫んだりしましたか?とても物静かに見えますが。

ラージャマウリ:たくさん叫びましたよ。後でわかったことですが、私がよく叫んでいるときは、私が(撮影しながら)自分や、自分のしていることに確信をもてないときなのです。そういうときは、些細なことに苛立ってしまいます。現場の人が静かにしないとか、ちょっとしたことを理解してくれないとかね。そういう小さなことを看過できればすべてのことがうまくいきます。セットでは一人の人間です。

--監督は今回、大作映画を作りました。小さな作品を撮りたいと思うことはありますか?例えば今年の残りの時間で?

ラージャマウリ:いいえ、大作を撮りたいという気持ちではなかったです。映画が大作になるか小品になるかどうかというのは、その映画の性質で決まることです。だからそれぞれの主題がそれぞれの価値を持っているし、作り方も違います。その映画のテーマに沿って、どれくらいの時間をかけるか、どのキャストやスタッフと作るか、大体の予算はどれくらいかが決まってくるのです。主題ありきです。もちろん、長い間、こうした大作を撮りたいという気持ちはありましたし、それが出来てとても嬉しいです。だから、小品を撮ることはできますし、それについて物語ることに興奮できる主題があれば、映画を撮りたいと思っています。

--4月28日に『バーフバリ:王の凱旋』が公開されますが、その後の予定はありますか?

ラージャマウリ:今は、それについて考えてないですね。ひたすら映画を完成させることを考えています。

--映画を完成させることに集中していると。

ラージャマウリ:ええ、ポストプロダクションの作業中ですから。完成の日付がとても近づいてきているので...

--不安になっていますか?

ラージャマウリ:ええ。こんな大作を公開直前ですから。ほら、私は幽霊や超常的なものを信じていないのですが、暗闇に行くときは恐ろしい気持ちになるものでしょう。論理と感情は別物なのです。だから、大作を撮っていて、理論上は全てがうまくいっていたとしても、気持ちの上では不安になるものです。だからちょっと不安になっていますね。

--4月29日(公開後)は休日ですが、予定はなにかありますか?

ラージャマウリ:4月29日は公開された諸国からの報告が上がってくるので、それを読んでいるでしょう。全部の国で上手くいくといいのですが。1週間はプロモーションやあれやこれやで過ぎるでしょうし、その後(休暇で)どこかへ飛び立つでしょう。どこへ行くのか知りませんが、多分長い休暇になるでしょうね。

ーー作物が育つのには時間がかかるものですが、監督は、クリエイターとして(次の創造物を作るのに)時間を必要としますか?

ラージャマウリ:ええ、長く必要です。私はいつも、映画と映画の間に普通よりも長い時間をかける必要があります。長いオフを取る必要があるのです。

--その時間に何をしますか?どうやってインスピレーションを得るのでしょうか?

ラージャマウリ:休憩はインスピレーションを得る時間ではありません。ただの休憩です。横たわって、何もせずダラダラ過ごします。本を読んだり、旅行をしたり、ゲームをしたり...。

--その間映画を見たいとは思わないですか?

ラージャマウリ:全く。あ、いや視聴者としては見ます。

--映画を見に行きますか?

ラージャマウリ:行きます。が、仕事としてではありません。

--多くの映画監督が言っていたことですが、私の夫*4のように、映画を見に言ったときいつもその照明がどうだとか、そういうことが気になってしまうと。そういうことはないですか?いち観客として映画を見ることができますか?

ラージャマウリ:映画が良いときは細部は気になりません。ただ映画として見ることができます。ただ映画に惹きつけられないとき、そうですね、そういうことがすべて気になります。

ーー今度は映画の制作過程について教えて下さい。前に言っていたように、『バーフバリ』は「マハーバーラタ」からたくさんのインスピレーションを得ていて、あなたはたくさんのファンタジーや神話に魅力を感じていると。

ラージャマウリ:ええ。

ーーしかし、実際のところはどうなのですか?もちろん、(バーフバリの)ストーリーが監督のお父さまから来ていることは知っていますが、それを頭のなかで膨らませていくとき、書いたり、コンピュータ上に起こすとき、実際にはどのように物語を創造しているのでしょうか?

ラージャマウリ:ほとんど、いやすべての時間は紙に書いています。(頭の中で膨らませているときは)ほとんど歩いている最中です。

ーーそうなのですか?〓*5もそうしていると聞きました。彼は一人で歩きながらブツブツ言ってキャラクターを創造するので、自分がとても正気には見えないと言っていました。あなたもそうするのですか?

ラージャマウリ:ええ。長いことそうします。私は手を振り回したり演じたり、なんでもやるのでするので正気には見えないでしょうね。

--庭を歩きながら?

ラージャマウリ:ほとんどはテラスの上です。

--じゃあ、私がもし庭にいたらあなたがそうしているのが見えるんでしょうか?

ラージャマウリ:(笑いながら)ははは。もしこういう場所があればどこでもやりますよ。場所は関係ないです。それからちょっとしたら、考えを紙に書いてまとめます。それからまた歩いて、まとめて...というのを繰り返します。同じことを長くはやりません。アイディアの数が揃ってきて、なにか流れが見えてきたら、パソコンの前に行って、アイディアをリストアップします。全体の構想を作って、パソコンに入れます。感情の高まるシーンや人々を並べます。

ーー誰がその作業に関わりますか?

ラージャマウリ:家族と自分です。父、妻、自分の子どもたちや、家族の子どもたち*6...皆を挙げます。(誰が関わるかを)前もって決めていません。

ーー正直にいって、彼らはあなたのアイディアを批判したりは...

ラージャマウリ:します。かなり。

ーーどの部分が一番批判されましたか?*7

ラージャマウリ:私の妻は私の仕事にかなり辛辣です。というのは、彼女は「これは成立してない」「これは好きじゃない」というコメントをするのです。とても直截な*8意見を言います。私は聞き入れたり入れなかったりです。

ーーしかし、あなたは「これは最高だ!」*9と言いたくなる瞬間があるのではないですか?

ラージャマウリ:ないですね。

ーーいちども?!

ラージャマウリ:ないです。「これは本当に良い出来だ」と思うものはあっても、「最高だ」というのはないです。

ーー小説などいろんなタイアップがありますが、キャラクターを創造していく上で、どのようにそれに情熱を保ち続けましたか?

ラージャマウリ:その理由をピンポイントにこれだ、と説明することは出来ませんが、こんな素晴らしい物語やキャラクターを作っているのだという気持ちがそうさせたと思います。それにこの映画の栄光を表現するのはすべて自分にかかっているのだという責任感。正しいやり方でこの映画やキャラクターを導かねばならないという...まるでクッション*10みたいにね。(笑い)

ーーある日、(キャラクターが)みんな立ち上がって「一体何をやってるんだ!」と言うと。(笑い)

ラージャマウリ:そう、彼らが思っているようなやり方で表現できていないのでは、という恐れも、めったにないことですが、ときどきは感じました。

ーー最後の質問です。この偉大な叙事詩を見た若い人々に、先人として、(偉大な作品を作るための?)最初のステップをどのように踏み出したらいいか、教えて下さい。

 ラージャマウリ:そうですね、いつもはアドバイスをしたりしないようにしているのですが...最近の役者にも言うことですが、おおむね彼らは、何であれやりたいことをやる忍耐力に欠けています。この世界で大事なことは、辛抱強く待って、たくさん仕事をして、正しいチャンスを待つことです。一方、若い人々はマルチタスクを非常によくこなします。おそらくそれが彼らが忍耐強くない理由でもあるのですが、いやわかりません。良く言えば多方面に活躍する能力があり、悪く言えば忍耐力がない。そのバランスを取ることが重要です。チャンスがいつ来るかはわかりませんが、それが来るときを忍耐強く待たねばなりません。

 二つ目は、ストーリーテラーとして、自分にとても正直でいないといけないということです。商業映画や芸術映画など、いろんな種類の映画があり、自分の好きなやり方でどれを作ってもよいのですが、他のものごとが自分に影響を与えるままにしてはいけません。何を語るにせよ、自分の作る物語が素晴らしいと感じられるようにしなければならないのです。これが正直な気持ちです。

――素晴らしいアドバイスです。『バーフバリ:王の凱旋』を見るのが待ちきれません。ありがとうございます。

ラージャマウリ:ありがとう。

 

 

 

 

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*1:right and up??聞き取れず

*2:誤訳の可能性有、後日訂正予定

*3:ダイナミックシリーズは小説のことを指す?後日補足予定

*4:インタビュアーのAnupama Chopuraの夫はボリウッドの映画監督Vidhu Vunod Chopra

*5:人名、聞き取れず

*6:元発言は"Kids in my family."で兄弟の子どもたちのことも含むと考えられる

*7:誤訳の可能性あり、後日訂正予定

*8:uprightly?誤訳の可能性あり

*9:鍵括弧内の内容は文脈からの推測。聞き取れず

*10:cushion?